建物の天井を形成する工事を軽天工事といいます。LGSと呼ばれる軽量鉄骨をベースに天井の骨組みを組成し、ボード工事などの仕上げの土台にします。軽天工事で用いられる素材特徴やメリット、作業の流れについて解説します。
軽天工事とは
住宅やオフィスなどの壁や天井に仕切りをつくるとき、以前は木材が使われていましたが現在ではLGSと呼ばれる鋼材が用いられるようになりました。その素材名(軽量鉄骨材)から軽量天井と呼ぶようになりました。
軽天工事で用いる素材は軽量鉄骨材という名前のとうりに薄く、軽いので加工がしやすく天井に使うのに適しています。
いままでは店舗などに使われることが多かったのですが最近では一般住宅でも広く使われるようになりました。
軽天の特徴、メリット
天井や壁、間仕切りの造作には、従来は木材が使われてきました。しかし近年では、店舗や事務所ばかりでなく、一般住宅にも軽天が使われるようになっています。最後に、軽天ならではの4つのメリットについてご紹介しましょう。
燃えにくく耐火性に優れている
軽天は鋼でできているため、燃えにくいという特徴を持っています。防火、防災といった観点からオフィスや商業施設などには適した素材です。
最近では一般住宅でも軽天が使われるようになっています。燃えにくいという特性を活かし天井や壁の間仕切りにも使われています。軽天に石膏ボードを貼るボード工事を行いますが、この石膏ボードも難燃性のため、火災が起きたときに延焼を防止する役目をします。
耐久性が高く、歪みが起こらない
軽天は木材に比べて乾燥や湿気などによる割れ、ひびや反りなどを起こすことがありません。反りが起きることで後工程のボード工事などで修正作業が必要になってきたり、ボードが割れてしまうこともあり得ます。
軽天ではこのような反りや湿気などにも影響を受けず、十分な強度を保ったまま長く使うことができます。
軽量で加工、作業がしやすい
軽天は軽量でありながら丈夫、加工もしやすいという特徴も持っています。軽いため壁や天井への負荷も少なく、搬入作業なども比較的しやすいなどのメリットがあります。
現場ではサイズに合わせてカットしたりしながら整形していきます。加工性の良さは工期の短縮につながります。工期が短期間で完了することはコスト面でも大きなメリットです。
工事コストを抑えられ、環境にも優しい
軽天で使われる鋼材は大量生産されています。そのため、品質を一定に保ったまま比較的安価な状態で供給することが可能です。
安定な供給がコストを下げ、工期の短縮がさらに人件費を抑えることにつながり結果としてトータル的なコストを抑制します。
軽天工事のやり方
軽天工事を行う際の手順について順を追って説明します。
天井のレベル出し
軽天工事をはじめるときは、まず天井のレベル(天井の高さ)を測ります。
天井の高さによってボードの厚みや1枚張り、2枚張りなどの仕様により床の仕上がりから何cmのところに施工すればよいかを判断します、レーザー墨出し器を用いて壁にしるしを付けていきます。
ボルト吊り
軽天を設置する高さに鉄骨を組むことができるように長いボルトを取り付けます。天井に高低差がある場合は計測し、同じ高さにぶら下がるよう長さを調節します。
天井にアンカーやインサートを打ち込みボルトを留めていきます。より大きい負荷がかかりそうな部位には太めのボルトを設置するなど状況に応じて強度を鑑みながら施工していきます。
野縁受け掛け
次に野縁受け(のぶちうけ)を設置します。野縁受けとは仕上げ材などを貼り付けるための棒状の素材を支えるために設置する部品のことです。
この野縁受けを設置し、板を渡し、格子状の天井下地を作っていきます。
部屋の幅に合わせてジョイント材などを用いながら壁から反対側の壁まで設置していきます。
レベル合わせ
レベル合わせとは天井を水平にする作業のことをいいます。
レーザー墨出し器を用いて水平照射し、その基準にあわせて調整を行います。
軽天工事で用いられる素材LGS
軽天工事で用いられる素材をLGSLight Gauge Steel(ライト・ゲージ・スティール)という名前で呼ばれ、軽量鉄骨・軽鉄とも呼ばれています。
素材の特徴は木材を用いた下地よりも軽量で丈夫、工期が短縮化される特徴については先の述べたとおりで、JIS規格で定められた製品強度、サイズなどが現場での施工をよりスムーズにします。
用途や施工環境によりいくつかの規格を使い分け、施工します。
- 50形:50mm×45mm 厚み0.8mm
- 65形:65mm×45mm 厚み0.8mm
- 75形:75mm×45mm 厚み0.8mm
- 90形:90mm×45mm 厚み0.8mm
- 100形:100mm×45mm 厚み0.8mm
軽天工事では野縁や野縁受け、壁工事では振れ止め、スタッドやランナー等の部材もLGSでできています。
軽天工事のメーカー
軽天工事でよく使われるメーカー等についてご紹介します。
三洋工業株式会社
1948年年創立の埼玉県に本社のある建設関連素材の老舗メーカーです。ISO9001を取得し、軽鉄下地材の設計や開発などを行っています。同社の開発した集合住宅用遮音置床システムは、優良住宅部品として認定されたり、戸建住宅関連建材が省令準耐火構造(住宅金融公庫)に認定されたりしています。
株式会社桐井製作所
昭和39年設立、東京本社の会社です。地震災害からいのちを守る「KIRII耐震天井」などを中心に、天井下地、壁用、床用などの軽鉄材料を取り扱っています。特に耐震に関する研究開発を推進して取り組んでいます。
日本建工株式会社
創業昭和11年(1936年)、設立昭和36年(1961年)の老舗企業です。内装工事全般と建材販売が主要な事業です。金属製天井下地、軒天ハンガー・軒天クリップ・軒天バー・チャンネルなどを取り扱っています。
まとめ
最近では木造戸建て住宅以外のマンション、アパートなどでも用いられるようになってきた軽天工事。
加工性や、耐火性、軽量であるがために施工納期が短く済むことからコストダウンを実現できる工事として施工ニーズが高まってきています。
オフィスや商業施設、店舗などでは複雑なデザイン性のある仕様を施すこともあります。
ボード工事、内装などの仕上げ作業の工程を考えた作業の心がけが必要です。