軽鉄工事の開口補強とは?基準やアングルについて

軽鉄工事では開口補強という作業を行います。さまざまな設備機器を設置するために天井部分や壁に開口部を設置していて、用途によって部分の補強を行い安全性、利便性を高める必要があります。天井の開口部における補強と設備関連の設置についてご紹介します。

軽鉄工事における開口補強とは

軽鉄工事ではLGS(ライトゲージスタッフ)の略で、厚さ1.6mm~4.0mm程度の軽量形鋼を使用します。RC造(鉄筋コンクリート造)、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)の建物においてはほとんどの天井や間仕切りに用いられるようになってきています。

軽く、加工がしやすく木造に比べて反りなどが発生しないLGSは内装工程において大幅な期間削減とコスト削減を実現します。

LGSをもちいて壁や天井をつくっていくとドアや空調設備なのどの設置箇所する箇所が出てきます。そのような箇所はLGSを設置しないため他の箇所に比べて強度が弱い箇所になってしまいます。

そのため、開いた部分を補強することが必要になってきます。

壁に建具等の設置による開口補強と方法

軽鉄で組まれた下地に対してドアや窓などを設置する際は設置箇所の周りをLGSで囲い補強します。これは補強の意味もありますが、建具の固定にも役立ちます。

開口補強には開口部の周りに開口補強筋を設置します。縦筋、横筋、斜め筋と呼ばれます。

補強をする理由は開口部周囲のひび割れ防止、せん断力の伝達です。

せん断力とは部材に直交する力を「せん断力」と言い、部材をずらそうとする力です。この力により周囲にひびが入ることがあります。

また、地震や熱による素材の膨張などでひび割れが発生するケースが出てきます。

使用する補強パーツとしては開口補強アングルと呼ばれる金具を利用します。

天井部の照明器具、点検口、スピーカーの設置箇所

吊り天井のケースでは照明器具、エアコン、スピーカーなどさまざまな機器をとりつけるために開口部を設けます。このような天井下地についても補強を行う必要があります。

基本的な補強は吊りボルトを増やす、野縁受けの追加、野縁の追加で行います。

エアコンを天井に設置するケースを事例に流れなどを説明します。

ボルトの増し吊り

開口部の吊りボルトは切断されているので開口部にはありません。そのため追加で増し吊りを行うことでこの部分を補強します。

増し吊りのためのアンカーが設置できない場合は両側の吊りボルトに対し水平に素材を通し、その素材からボルトを吊るす方式をとります。

野縁受けの追加

開口部に沿って野縁受けを設置します。野縁受けは切断されていない野縁受けと接合させる必要があるため、しかるべき野猿受けまで延長させます。この時に取付用の補強材などを用います。

野縁の追加

補強の野縁も開口部付近に設備機器と干渉しないように設置を行います。この時野縁受けの設置と同様に切断されていない野縁受けまで伸ばして接合させます。

床部(スラブ)の開口補強と方法

軽鉄工事ではなく鉄筋工事の部類になりますが、床の開口はスラブ開口ともいい、床に大小の穴をあけるケースがあります。この場合はエレベーターなどを設置する建物では複数階にわたり開口ヶ所を設ける必要が出てきます。

床部の開口補強では鉄筋を横、縦、斜めに設置し補強します。

スラブ開口の最大径が両方向の配筋間隔以下で鉄筋を緩やかに曲げることにより、開口部を避けて配筋できる場合は、補強を省略することができます。

開口補強の基準・規格

軽鉄工事の開口補強については国土交通省の公共建築工事標準仕様書の「7節 壁及び天井下地」に基準を定めています。

仕様書では

設計図書に定められた照明器具、ダクト吹出し口、天井点検口、壁等の開口部は、間柱、野縁等と同材を用いて補強する。

とされています。

ケースによっては補強が不要な場合もありますが設計者への確認が必要です。

同様に鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説(日本建築学会)、公共工事標準仕様書建築工事編(公共建築協会)の仕様書にも基準についての記載があります。

まとめ

軽鉄工事における開口補強は、建物を安心安全に保つためにガイドラインに沿った正確な施工が必要です。

補強方法を天井、壁、床などの箇所別にご紹介しましたが、設備機器や形状などにより強度などが異なるため、補強の必要性については個々に判断が必要です。

また、補強方法は特記に記載されていたり、別途資料が準備されている場合もありますので、注意する必要があります。