現在ほとんどの建物に用いられるボード工事ですが、ビスを一定の間隔で施工ボードに打ち込み固定します。ビスピッチと呼ばれるビスとビスの間隔に決まりはあるのでしょうか?ビスピッチの重要性、基準値について解説します。
ボード工事におけるビスピッチの重要性
ビスピッチとは、ボードを貼る際に留めるビスとビスの間の間隔のことを指します。
ボードサイズはいくつかあります。
- 910mm × 1820mm (3×6版)
- 910mm × 2420mm (3×8版)
- 910mm × 2730mm (3×9版)
- 1000mm × 2000mm (メートル版)
このボードを隙間なく貼り、ビスで留めていきます。ビスピッチはメーカーや大手ハウスメーカーなどで指定されています。このビスピッチは規定を守る必要があります。
ビスピッチを広めにとってしまうことで施工後にクラック(ひび)が入ってしまったり、耐圧基準をクリアできないため、基準値を守る必要があります。
また、ビスの長さなどについてもボードの厚さやネジの種類によって規定があります。
ビスピッチの標準仕様書
石膏ボードのビスピッチは仕様書で決まっています。また、公共建築物、住宅金融支援機構の住宅ローンフラット35基準、石膏ボード工業会発行の仕様書などがあり、耐火仕様などでも異なります。建物における用途や仕様によって判断する必要があります。
公共建築工事共通仕様書
軽量鉄骨下地・木造下地とも、小ねじ類の留付け間隔
天井の場合:周辺部150程度、中間部200程度
壁 :周辺部:200程度、中間部300程度
として規定されています。
(社)石膏ボード工業会 石膏ボード施工マニュアル(H25年度版)
住宅金融支援機構発行の木造住宅工事仕様書
【1枚張り】
天井:外周部150㎜以内、中間部150㎜以内
壁:外周部150㎜内外、中間部200㎜以内
【2枚張り】
1枚目 天井:外周部300㎜以内、中間部300㎜以内
壁:外周部150㎜以内、中間部150㎜以内
2枚目 天井:外周部150㎜以内、中間部200㎜以内
壁:外周部200㎜以内、中間部200㎜以内
(社)石膏ボード工業会
【下地が木造/一般工法の場合】
周辺部:150㎜以下 一般部:200㎜以下
【下地が木造/省令準耐火仕様の場合】
1枚目:周辺部:300㎜以下 一般部:300㎜以下
2枚目:周辺部:150㎜以下 一般部:200㎜以下
【枠組壁工法/一般工法の場合】
周辺部:150㎜以下 一般部:200㎜以下
【枠組壁工法/省令準耐火仕様の場合/1枚張り】
下地に直交:周辺部:150㎜以下 一般部:200㎜以下
下地に並行:周辺部:100㎜以下 一般部:200㎜以下
【枠組壁工法/省令準耐火仕様の場合/2枚張り】
1枚目:周辺部:300㎜以下 一般部:300㎜以下
2枚目:下地に直交/周辺部:150㎜以下 一般部:200㎜以下
下地に平行/周辺部:100㎜以下 一般部:200㎜以下
手抜き工事はボードが浮き、クロスが破れる(しわが入る)
ボードが浮くことで内装の壁紙が破れたり、珪藻土が割れてしますことがあります。ビスピッチの基準値は先に述べたように決められています。
1枚張り、2枚張りなどによってもビスピッチは異なります。壁が浮き、クラックが入ってしまった場合は下地をパテで埋めなおしたり、ファイバークロスなどで補強作業を行う必要が出てきます。
ビスピッチが300㎜以上ひらいているボード工事の場合は一度確認することをおすすめします。また、間隔にばらつきがある場合も注意が必要です。
ビスピッチ定規の利用も
ビスピッチを一定の間隔で打ち込むために現場ではさまざまな工夫をしています。その一つがビスピッチマーカーと呼ばれるものです。
ビスピッチマーカーとはボードに打つビスの間隔を簡単にマーキングすることができるもので、マーカーに専用液を流し込み、ボードの側面に沿ってスライドさせることで規定の間隔にマークがつきます。
このマークに合わせてビスを打ち込んでいきます。
ビスピッチマーカーを使わなくとも木材に一定間隔の釘を打ち込み、先が出た状態のものを作成します。その木材をボードへ合わせることで既定の間隔でマーキングできるものなどを現場で状況に合わせて使用しています。